2025/10/8 21:24
隣人の指先

不満、うっぷんは
吐き出すと、スッキリするね
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通勤電車の車内。
揺れに合わせて少しずつ近づく彼女の存在に、僕の意識は抗えず吸い寄せられていった。
隣に座ったのは、何度か見かけたことのある女性だった。
光沢のある黒髪を束ね、肌は透けるほどに白い。
その日の彼女は、膝上丈のタイトスカートからまっすぐに脚を伸ばし、
ときおり組み替えるたびに、そのラインが美しく露わになった。
その動きがあまりに自然で、艶めかしくて、僕の喉は何度も鳴った。
視線を逸らそうとしても、視界の端に彼女の膝が入り込み、無意識のうちに目で追っていた。
組み替えた脚の内側、薄いストッキング越しに浮かぶ膝の柔らかさ。
布の向こうにある体温まで感じそうで、下腹が疼く。
――妄想は、止まらない。
もし、この脚が僕に絡んできたら。
もし、この女のひとが、こんなふうに密着してきたら…。
すると、不意に現実が、僕の想像を追い越した。
車内が大きく揺れた瞬間、彼女の肩が僕の腕に触れた。
次の揺れでは、さらに重なり合うように身体が近づく。
香水の香りがふわりと漂い、意識が一気に熱を帯びた。
そして――彼女の手が、静かに伸びてきた。
スカートの膝上からすっと滑り出た指先が、
僕の太ももにそっと触れた。
柔らかく、でも確かな意志を持った動きだった。
まるで猫が毛並みを撫でるような、
あるいは、欲望に火を灯すような――そんな手つき。
彼女の視線は前を向いたまま、表情ひとつ変えず、
その指だけが僕の内側へと忍び寄ってくる。
太ももの内側をなぞられ、血流が一気に集中する。
息が詰まりそうになるほどの感覚に、
僕は足先まで熱くなっていた。
ただの通勤電車のはずなのに、この空間は二人だけの密室に変わっていく。
静かな車内、衣擦れと呼吸音だけが交差する中で、彼女の指はまだ、僕の足をそっと撫で続けていた。
そして僕は――
このまま目的地に着かず、
この濡れた夢が終わらなければいいと、
本気で願っていた。
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あと3日