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せい (静寂の奥に宿る官能)

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せい (静寂の奥に宿る官能)のプライベート日記

2025/11/5 22:04

視線の先

視線の先

人間ウォッチングimg

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カフェの窓際。

カップルが向かい合って、微笑みながら指を絡め合っていた。

その仕草が、どうしようもなく脳を刺激する。

 

――この二人、昨夜も抱き合ったんだろうな。

彼女の脚は、どんなふうに震えただろう。

彼の手は、どこまで深く入ったんだろう。

 

そんな想像が、喉の奥をじわじわと熱くさせる。

視線は無意識に彼女の口元を辿り、

ふと笑ったその唇に、舌が這ったときの音を幻聴のように聴いてしまう。

 

柔らかく開かれたその口で、彼のを、どんなふうに――

いや、ダメだ。わかってる。だけど、止まらない。

 

男の指が、彼女の太ももにそっと触れた瞬間、

思わず自分の下腹部が疼いた。

スカートの下で、何が行われているかなんて、わからない。

けど想像なら、どこまでもできる。

 

下着をずらして、指を忍ばせて――

彼女がそれを受け入れて、わずかに眉を下げて、小さく甘く息を漏らす。

そんな妄想を、俺は何度も繰り返す。

理性を、ひとつずつ外しながら。

 

この視界が、罪なら。

この想像が、穢れなら。

 

――俺はきっと、喜んで堕ちていく。

 

世の中のカップルが晒す何気ない親密さ。

その裏に潜む、夜の交わり。

光の中で見せる無垢さと、

闇の中で見せる淫靡さの、そのギャップに俺はどうしようもなく興奮する。

 

首輪、手枷、目隠し――

あのふたりは、どんなプレイを楽しむのか。

喘ぐ声を漏らすのは、どちらか。

それとも、どちらも嗜虐的なのか。

 

……彼のシャツの袖口に、爪痕なんて残ってないか。

彼女の指先に、ロープの痕なんて――。

 

そんなくだらなくて、どうしようもない妄想を、

俺は今日も、止められずにいる。

 

そして今夜もまた、

ひとりのベッドで、誰かの情事をなぞるように、

自分の熱を処理するのだ。

 

知らない誰かの、淫らな夜を、

俺の想像で――何度も、何度も、再生しながら。

テラス席のカップルを見ていたはずだった。

スカートの隙間からのぞく太もも、

小指を絡ませて囁き合う甘い声。

それを見ながら俺の内側では、

理性と欲望が静かにせめぎ合っていた――はずだった。

 

ふと、背中にざらりとした感覚が走る。

誰かに、見られている――?

 

振り向く勇気は出なかった。

けれど確かに、背後の視線は執拗で、鋭く、そして濡れていた。

俺の目線がどこに向かっていたのか、すべて見透かされている気がした。

 

その気配は、すぐそばのソファ席。

さっきからスマホをいじっていたはずの女が、

こちらに体を向けて、じっと俺を見ていた。

 

脚を組み替えるたびに、スカートの奥がちらりと覗く。

まるで、それすらも“見せてやっている”ような仕草で。

 

やばい。

見ていたのは俺のはずなのに――

今、見られているのは俺のほうだ。

 

じわりと、股間が熱を帯びていく。

彼女の視線が、そこに向いている気がして、思わず腿を閉じた。

だけど逃げられない。

逃げたくない。

 

テーブル越しに、彼女の指先が動いた。

まるで、「そのままでいて」と命じるように。

指先がカップをなぞるたび、俺の喉が、ごくりと音を立てる。

 

その瞬間、想像がねじれた。

さっきまでのカップルはもうどうでもよくなっていた。

俺は、彼女に、覗かれている。

俺の興奮を、暴かれている。

彼女の脳内に、俺がどんなふうに喘ぐのか想像されている。

 

――お返しに、俺も想像する。

 

あの細い指で、俺を弄ぶ姿。

彼女の瞳は決して逸らさず、

俺の反応を楽しみながら、舌を這わせる。

 

やがて彼女は立ち上がり、すれ違いざまに俺の耳元でささやく。

「ねぇ、あなたも――見られるの、好きでしょう?」

 

その声が幻でも、妄想でも、かまわない。

俺は、完全に、堕ちていた。

 

視る側だったはずの俺が、

視られることで、より深く、淫らに目覚めさせられるなんて。

 

あのカップルじゃない。

彼女でもない。

 

――“視線”こそが、俺を一番感じさせてくれるのだ。

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