2025/11/8 20:00
台所にある小さな人生論
寒い夜台所で おでんを煮ながら思いました 湯気というのは 不思議なものですね 目に見えるのに すぐ消えてしまう 形がないのに 確かに温度を持っている 人生も、きっと おでんの湯気みたいな ものなのかもしれません 熱いうちは はっきり見えるけれど 少し冷めればすぐに薄れて それでも確かに そこにあった時間の香りを 残していく 練り物も、大根も、卵も、 それぞれに違う時間をかけて 味が染みていくように 人もまた、心の中に “自分の出汁”を抱えて 生きているんだと思います 焦らず、ぐつぐつと、 じっくり煮込まないと 深みのある味には ならないのかもしれません そんなことを考えながら 鍋の中の大根が やっと透き通ってきた瞬間に 「人生、これで いいのかもしれないな」と、 なぜか思いました おでんは 煮込みすぎてもいけない けれど、急いでは味が染みない 湯気の向こうで 自分の心も 少しずつ柔らかく なっていく気がします 冬の夜の台所は 静かな哲学の教室です ♡ |

クーポンを見る
スマホに送る


